追憶〜逢いたい人へ〜

結局遅刻な私達は、サボりたかったけどちゃんと学校に行くことにした。



駅に着くと、孝雄は、


『ごめん。帰りは予備校直行しなくちゃならなくなったから…一人で帰れるか?』


…多分、これも“嘘”…



だけど私は、


『大丈夫!寂しいけど、明日…会える…もんね?』



孝雄の顔を覗き込んだ…。



『約束しただろ?』


まっすぐ私を見つめる目に少しの安心と、少しの不安を感じながら…



『そうだよ…約束だよ!』

孝雄の手を取って強く握った…。




『じゃあ、またな…』




いつもなら“明日”という言葉がついてるのに…



不安になった私は、

『明日ね!』


そう言って手を振った…。



何も言わない孝雄は手を振って私から離れていった…










< 210 / 297 >

この作品をシェア

pagetop