追憶〜逢いたい人へ〜

気が付いたら、私は自分の部屋にいた…。



どう帰ってきたのかも、何時に帰ってきたのかもわからなかった…。






…やっぱり孝雄は来なかった……。



あの胸騒ぎはこれのことだったんだ……。



ねぇ…孝雄……?



孝雄と私の未来に“明日”はもうないのかな……




そんなの嫌だよ…



また、何もなかったみたいにあの場所で待っていてくれるよね…?




また“ごめん”って抱き締めてくれるよね…?




もう会えないなんて考えられなかった…



絶対にそんなことはない。

あり得ない…。



私は自分にそう言い聞かせた。



そして、毎日、毎日…



朝早く起きて、いつも孝雄が待っていてくれた場所で孝雄が来るのを待っていた…




1ヶ月間ずっと、ずーっと……。





来ない孝雄をギリギリまで待っていたことで私は遅刻の常習になった…






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