追憶〜逢いたい人へ〜

遅刻を1ヶ月も続けているとさすがに担任から呼び出しが待っていた…。



これ以上、遅刻ができなくなった私は、どうしても孝雄に会いたくて、勇気を出して孝雄の家に電話をかけることにした…。



電話に出たのは母親らしき人……


『孝雄はいません。あなたは岡田さんね?』


声に威圧感を感じて、


『…はい。』としか答えられなかった…。


『孝雄はもう会いません。だからもうかけてくるのは最後にしてください。』


そう言われて一方的に電話をきられてしまった…。



絶望的…



それしか頭に浮かんでこなかった……。




孝雄の父親は医者だ。

父親も母親もとても厳格な人らしい…


だから男女交際はもっての他……。


中学生の頃、そう言ってたけど…今でも変わらないんだ…。



そう聞いていたもんだから、私と歩いてるところを見られでもしたら…


なんて思って、今まで電話をかけることも、孝雄の家の前を二人で歩くこともしなかった。


それが二人の暗黙の了解だった。





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