追憶〜逢いたい人へ〜

進路希望書が白紙のまま、目標が決められない時……



また孝雄との思い出の場所になった海浜公園…


気が付くといつもここに来てしまう……





公園のベンチに腰掛けていると、一人の女の子が近づいてきた…。



不思議そうに私の顔を見るその子は、


『悲しいの?』



って話しかけてくれた。



私が“なんで?”って顔をすると、私の頬を指さし、


『泣いてるから…』


眉を潜めてそう言った。


そう言われて初めてまた泣いてたことに気付く…



私、また泣いてた…




慌てて、顔に手を当てて涙を拭った。



『…悲しいことあったんだ…。』


つい言葉が出てしまった。


『泣いたらダメだよ。パパが泣くときは好きな子の前だけにしなさいって言ってた。』


真顔で話す女の子におかしくなって笑ってしまった…


…この子の親はなんつーことを教えてるんだ……



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