追憶〜逢いたい人へ〜

…今更、何を話せばいいんだろう……



あの頃、約束の日に来なかった勇を私は追いかけずに諦めた…


会えないなら会いに行けばいいのに…


いくら芸能人でも、どうにかしたら会えたかもしれない……


なのに、そんな努力もしないで諦めた私が、今更勇に何を話したらいいの?



私は動揺しながら、車に乗り込む勇の姿を目で追った…



車の助手席に誰か乗ってる…

あっ……女の人だ…



サングラスをかけていたけど綺麗な人に見えた……



動揺が冷静に変わる…


…なんだ……

勇の恋愛は前に進んでるんだ…


そう思ったら、さっきの罪悪感みたいな切ない気持ちは“スゥーッ”と消えて…
ホッとした……


親しそうにしている二人を見た私は、複雑な想いもあったけど、少し嬉しかった…。



…前に進めないで立ち止まってるのは私だけか……



…良かった………




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