追憶〜逢いたい人へ〜
それでも渋る私の手を引き、助手席側に回ると、勇はドアを開けて私を押し込んだ…
運転席に座った勇に、
『…やっぱり後ろに座ったほうが…』
『いいの!』
そう言って勇は車を発進させた…。
車の中は最新の邦楽が流れている…
なんか、勇は洋楽のほうが似合う気がしてつい、聞いてしまった…
そしたら勇は、
『洋楽はダメ!何言ってるかわかんねぇから眠くなる…。千代は洋楽派なのか?』
『勇と同じ…。聞いてるとつい、訳したくなっちゃって頭痛くなる…』
“クスッ”と笑いながら言った…
勇らしいな…と思った。
それから暫く二人は何も話さないまま沈黙が続いた…
気まずい空気が流れたけど、何を話していいか分からなくて…
変なことを口走るより、何も話さないほうが正解な気がして…
黙ることを選択した……