追憶〜逢いたい人へ〜

次の朝、梨香に会うとすぐに、

『昨日、繋がらなかったよ…。』

携帯電話を指差しながら言った。


『あっ…ごめん。』


『…まぁ…。一部始終涼太に聞いた。っていうか聞かされたよ。』


『…そう…。』



俯く私に梨香は微笑んだ。

『やっと“孝雄”から卒業できそうじゃん!』


梨香には孝雄のことを全部話していた…





私はすぐに頭を上げた。


そして…また俯く……。



『まだ無理…。』


『なんで?千代は涼太が好きなんでしょ?』



『…気になってるっていう自覚はある……。でも、無理。』



『まだ始まったばかりじゃん!先はこれからだよ!』


梨香はたくさん慰めてくれるけど…



私の心は沈んでいた…。






『そんなんじゃ話しずらいんだけど…』


梨香の慰めてくれる顔は明らかに浮かれ顔…




様子がオカシイ……




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