追憶〜逢いたい人へ〜
『俺、もう行くわ…!』
『…洋介!』
呼び止めたけれど、洋介は振り返らずに早歩きで私達から遠ざかった…
その女の子は私を睨みながら洋介についていった…。
『もう、行こう…。』
涼に腕を捕まれ引っ張られながら歩いた…
さっきの楽しかった気持ちが途端に消えた…
涼も何も話さない…
どのくらい歩いただろうか…
辺りはオレンジ色に染まっていた…
たどり着いたところは“山下公園”…
空いているベンチに腰を下ろした。
『ごめんな…嫌な気分にさせて…』
涼が頭を下げた…。
『私はいいの…でも洋介…なんであんなに怒るんだろう?』
『…洋は…、千代が好きなんだよ…。』
『えっ…?!だってあの女の子いたじゃない…』
『あれはあいつの悪いところ。多分、断れなかったんだ。』
『そんな……。洋介はいつも冗談ぽく言うからわかんなかった……。あっ…だからあの子、私を睨んでたんだ…。』
洋介のこと……友達だと思ってたから…