追憶〜逢いたい人へ〜

黙って私の話をずっと聞いていた涼は、


『…なんでそんな話をしたの?』


…諦めてくれるって思ったから……


そう思ったけど口に出せない……


『諦めると思ったの?』


私は顔を上げ、びっくりして涼を見つめた…


『その顔は図星だな…』


優しく笑った涼は私をそっと優しく引き寄せ、強く抱き締めた……



『……辛かったね……。』


そう一言言った涼は私の背中を軽く……
赤ちゃんを寝かしつけるように“ポンポン”叩いた…

優しく…優しく………



涼の一言で私は救われた…


そう思った瞬間、涼を抱き締め返している自分がいた…。



涼の胸で泣きじゃくる私の頭を撫でながら、


『その人を無理に忘れることはしなくていいよ…俺は待つから…。千代を悲しみから救ってあげる……。』


…涼……

ありがとう………


私…、このまま涼への気持ち前に進めちゃうよ……



もう、止めないから……








< 280 / 297 >

この作品をシェア

pagetop