追憶〜逢いたい人へ〜
…違うよ、孝雄…

さっきなんで反らしたの?
すごく嫌だったよ………



もう声に出すのもしんどくて、孝雄を見つめることしかできなかった…。



『あと少しだから…。』

孝雄はそう言って私の手を引っ張って、ゆっくり私の歩調に合わせて歩き出した…。



私はその孝雄の優しさで、さっきのムカつきは一歩一歩進むにつれて消えていくようだった……。



暫くして、付き合わせている事が悪く思えてきた私は、


『もう…なんとか…大丈夫…。先に行っちゃって!』

本当は隣にいてほしかったけど、強がってしまった…。



『おぉ…。』

とだけ言った孝雄は、結局私の隣にいてくれた。



マジ…優しいヤツ……




強がったの分かったんだろうな…………

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