追憶〜逢いたい人へ〜
頂上に着くと、孝雄は私の頭を“ポン”と軽く叩いて、何も言わずに友達の方へと行ってしまった。
『あっ…ありがとう…。』
孝雄の背中に向かって言った。
聞こえたかな………
辺りを見回し、牧野と麻美を探す。
二人はもう昼食の真っ最中…。
『あっ!お疲れ!割と早かったじゃん…。』
麻美はニヤニヤしながら私を見た。
もう、突っ込む力も残ってなかった私は、シカトしてシートに倒れ込んだ…。
そしてポツリ……
『やっぱり、登山する人の気持ちがわかんない……』
暫く動けなかった私は、やっとご飯に口をつけた。
あぁ…帰りは下りか…
登りよりはマシか……
帰りはなんとか牧野と麻美のペースに付いていくことができた…。