追憶〜逢いたい人へ〜

『…嫌じゃなかったけど…』





『…なら、付き合えば?』




また私を突き放す…。





『…でも、たっちゃんはずっと友達だったから…好きだけど…付き合うのって…考えたことないよ…。』





そんな私の言葉に何も言えなくなったのか、孝雄は、


『…そっか。』


だけ言った。



そして、孝雄は空を見上げて何か考えているようだった……。



私も見上げた……。






『…付き合うとなるとさぁ…、孝雄とは塾帰りとか…一緒にいられなくなるのかなぁ………』






私はそれが嫌でたまらない……。





これが私の本音だった…。





俯いていた私は強い力で引っ張られる…。






孝雄と私の体が密着する…………






本日、二回目……。





抱き締められたの………。





私はただただ、ビックリ…



そんな私に、孝雄は、




『それは、嫌だなぁ…』




そうポツリと呟いて、抱き締める腕を強めた…。



…あっ…孝雄も私と同じ気持ちだったんだ……。



私も孝雄をそっと抱き締め返した…。





心地よかった…………。






< 49 / 297 >

この作品をシェア

pagetop