追憶〜逢いたい人へ〜
『起きたか?』


孝雄は私の顔を覗き込んだ…。



『あっ…ごめん…。』



反射的に頭を起こしたもんだから、立ち眩みがしてクラクラする。


とっさに手を額に当てて頭を支えた…。



『大丈夫か?もう少し寝てろ…。』


孝雄は、私の頭を自分の肩に引き寄せた。




…またクラクラする……





『ねぇ…なんで孝雄がここにいるの?』



孝雄にもたれ掛かったまま聞いた。



一瞬、戸惑った顔をした孝雄は、


『牧野がお前が具合悪そうだって言うから……』





…しまったー!!



またあいつらの仕業か!!



顔を上げて、


『もう大丈夫だから、友達んとこに戻っていいよ。』

悪くて、そう言った…。




『なんだよ、それ!俺がここにいたらなんか都合悪い?』


少し怒った声で…

でも、優しい目で私を見ている……。



そんな優しい目で見つめられたら、何も言えない…。



私は孝雄にもたれ掛かり、そのまま目を瞑った…。




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