追憶〜逢いたい人へ〜

勇がいないことに、ホッと安堵し、部室に戻ってジャージを回収した。




下駄箱の前を通り過ぎようとすると話し声がする……。




勇と孝雄だった…。



思わず、立ち止まってしまった…。






『お前さぁ、もっと周りのことも考えろよ。』


孝雄が勇を諭すように言った。


『何が?』


明らかに勇は機嫌が悪そう…。


『ギャラリーの前で千代にあんな風に言うのはどうかと思うぜ。』


『あぁ…。別に…。』


『もっと自覚しろ!ギャラリー達は何するかわかんないぞ!』



孝雄をちらっと見た勇は、

『っていうか…伊勢谷は千代の何?』



孝雄は言葉に詰まって、戸惑っていた。



不意に、孝雄は顔をあげて私のいる方へと目線を移した。



目があう私と孝雄……。



そして、勇…………。
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