キスはおとなの現実の【完】
毎日かよっていると、なかのようすもだんだんとわかってくる。

三本酒店のお客さんは、決しておおぜいの不特定多数というわけではないようだ。

いつも十数名の常連がいれかわり立ちかわりといった感じである。

営業時間は酒屋が看板をおろす夜九時まで。

混んでいる時間帯や、比較的すいている時間帯もわかってきた。

わたしが最初にいった七時ころがピークのようだ。
うしろに三十分ずらすだけで、お客さんはすかすかになる。

サラリーマンのすくない土曜日でなくても、うまくいけば、わたしひとりきりという日だってありえる。
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