キスはおとなの現実の【完】
「風邪じゃないです。ちょっと鼻がむずむずしただけです」

「そうですか」

わたしの性格上、いつでもこんな調子である。
だからおおきく発展して会話がはずむようなことはめったになかった。

カズトさんがわずかによそ見をしているあいだ、ばれないように、ちょっとしょっぱい鼻水をすすってわたしはごくりとのみこんだ。
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