キスはおとなの現実の【完】
「おれはいいことだと思う」

大上先輩はかぶりをふってそういった。
銀ぶちめがねのレンズとレンズのあいだをひとさし指でしめしていう。

「まえよりがんばっているが、すこしだけよゆうがでてきたようにも見える。ひと月まえまではずっと眉間にしわをよせて険しい顔をしていたのが、ほんのすこしおだやかな表情になった」

それからこんなせりふもつけたした。
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