キスはおとなの現実の【完】
「採算度外視の激安目玉商品なんていうのも、毎週末広告がはいってきますしね」

「そうなんですよ。私も毎週はいってくる広告を見るのがたのしみで……」

どうやら興味をしめしたらしい。
担当者はカタログからようやく顔をあげた。
大上先輩の顔を見る。

そのタイミングを見計らって大上先輩が言葉をかぶせる。

「ただ、ああいうお店の場合、たいていが在庫かぎりなんていうことがおおかったり、ほしいときにほしいものが激安になっていることもすくないじゃないですか。機械はなんのまえぶれもなく、とつぜん壊れるものだったりしますから」

ちょっとしたじょうだんを最後につけ加え、たっぷりとあいだをあけたあと、大上先輩はたたみかける。
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