キスはおとなの現実の【完】
「わが社のものですと、いつでもおなじ商品がおなじ価格でそろいますし、個人的に買いにいく手間もはぶけます。たしかになかには割高になってしまうものもあるんですが、たいていのものは量販店さんのセール価格と同等か、それ以下でやらせていただいております。たとえば、今ごらんになっているパルプ100パーセントのコピー用紙ですと……」

さらりとお得情報を混ぜながら、大上先輩は担当者の手のなかのカタログを手のひらでしめした。

それから、いつのまにか用意していた電卓をはじいて、デジタルの数字を相手に見せる。
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