キスはおとなの現実の【完】
18.失意の底で
会社へもどる途中、いつものとおり駅のホームで遅い昼食をとった。

十月末の夜ははやい。
ホームのむこうはべた塗りした黒。
冷たい空気にぽつぽつとネオンや店の看板が無関心に光っているだけ。

わたしはまるで食欲がなかった。
購入したサンドイッチに手もつけられない。
それどころか、のみものだってのみたくなかった。
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