キスはおとなの現実の【完】
横で弁当をかきこんでいる大上先輩も口をひらかなかった。

無言の時間がもうしわけない。

わたしは、奥歯をくいしばったままあやまった。

「ごめんなさい。わたしのせいで、市橋商事さんの営業をだめにしちゃって」

大上先輩はこちらをむかず口いっぱいに弁当を頬ばりながらいう。

「まあ、しかたないさ。最初はみんなこんなものだ。あれだけしゃべれるなんて、よくやったほうだとおれは思うぞ」
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