キスはおとなの現実の【完】
責任は100パーセントわたしにあるのに、大上先輩はわたしを責めなかった。
ますますもうしわけなさがつのり、なさけなくなってくる。

「なあ、袴田。どこが悪かったかわかるか」

おそらく、くやしいのはわたしよりも大上先輩のほうなのだろう。

好感触をつかんでいた営業を、自分ではない他人によってふいにされた。
わたしは役立たずならまだしも、大上先輩のじゃまをしてしまったのだ。

わたしは首をかしげた。
大上先輩はじょうだんめかしていう。
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