キスはおとなの現実の【完】
見る人のタイミングによって、おなじ人間がおとなにも見えたり、こどもにも見えたりする。

たとえ中身がまるでおなじ人物だったとしても。

「さっき袴田さんがいったように、おれたちは先の見えないのぼり階段をのぼっていくことしかできません。とおりすぎてしまった段は足もとから消えて、二度とあともどりできなくなります。だから、おれたちが生きていくには、のぼってのぼってのぼり続けていくしか方法はないんです」

カズトさんはわたしにたずねる。
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