キスはおとなの現実の【完】
「袴田さんはおれのことを、おとなと思いましたか、こどもと思いましたか」

わたしはうまくこたえられず、泣いた顔でカズトさんを見つめ返した。

「こう見えて、おれもけっこう必死なんですよ」

カズトさんはじょうだんまじりに笑ってつけたす。

両親から受け継いだ店をたったひとりで守っていくというのは、やはりなみたいていのことではないのだ。
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