キスはおとなの現実の【完】
「必死になって階段をのぼっていても、思うように進まなかったり、うしろからきたやつにあっさりと追い抜かれて、もう二度と追いつけないなんていうこともしょっちゅうです。じっさい、うちにのみにきていた学生のお客さんが卒業して、おとなみたいになるところを何度も見ていますから」

そういって笑うカズトさんの笑顔の奥には、ほんのちょっとだけかなしみの色が隠れていた。

わたしはいった。
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