キスはおとなの現実の【完】
「ええ。そうですね」

カズトさんはいう。

「それがきっと袴田さんのペースなんでしょ。たしかに理想と現実のギャップはいつも自分のなかにあって、ときにひどく自分のことを苦しめるけど、袴田さんがおれのことをこどもと思わないように、おれも袴田さんのことをこどもだなんて思っていません。きっとそういうものなんですよ」

カズトさんはやさしく笑う。
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