キスはおとなの現実の【完】
わたしたちのキスは、はじめからたがいの一番深くにふれた。
くちびるを重ね舌をからめるだけで、不思議とカズトさんの感情が手にとるようにわかった。

カズトさんのキスは決してじょうずなものではなかった。
おとなのようにふるまっているが、まだまだどこかこどもくさい。
不器用でがむしゃらで、必死に走っているような、そんな誰かさんの生きかたにそっくりなキス。
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