キスはおとなの現実の【完】
それがどんな意味をなしているのかなんて、本当のところぜんぜんわからない。

けれど、そうしなければいけないような気がした。

もしかしたら、これはある種、わたしのなかの儀式のようなものだったのかもしれない。
なさけなさや苦しみなんかの弱い感情も全部ぜんぶ自分のなかにとりこむのだ。

ひと息に、わたしのなかのすべてのものを、のどを鳴らしてごくりとのみこむ。
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