キスはおとなの現実の【完】
「口からでまかせだったんでしょ。キスをするための口実っていうか」

「違います」

カズトさんは、こどもみたいにむきになる。

「ほんとにおれは、袴田さんのことが好きなんです。袴田さんの彼氏になりたいっていうか、袴田さんに彼女になってほしいっていうか。おれ、こういうことも人生とおなじで、がむしゃらに走るしかできないんです。合コンではじめて会った人とホテルに消えちゃうなんていうこともできないし。浮気するほどの器用さもない。だいいち、好きな人とじゃなきゃキスなんてしたいと思いません」
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