キスはおとなの現実の【完】
そのいいかたがなんだか必死すぎて、ますますかっこうつかないなって思ってしまう。

「それに、ほら。いつだったか、でぶのお客さんに袴田さんがおれの彼女かってきかれたとき、じつはそうとううれしかったんですよ、おれ」

本当だろうか。
その話もどうだかうたがわしい。
そのときはまだ出会ったばかりのころじゃないか。

わたしはいった。

「わたしとつきあっても、ぜんぜんおもしろくないですよ」

カズトさんは、おとなのふりして笑っていう。
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