キスはおとなの現実の【完】
「けれど、わたし、貧乏でけちですよ」

またつまらないせりふを吐いてしまう。
カズトさんは笑顔でこたえる。

「知ってます。袴田さんがお金持ちなら毎晩ひとりで、こんな店にこないでしょ」

「けどわたし、仕事が忙しいので、つきあってもデートなんてできませんよ」

「それも知ってます」

カズトさんはまた笑う。
< 211 / 224 >

この作品をシェア

pagetop