キスはおとなの現実の【完】
「心のぐちゃぐちゃはなくなりました。カズトさんが舌の先でほぐしてくれたおかげです」

「え? それじゃあ」

カズトさんがうれしそうな顔をした。
なんとなく、へんてこなおとなのこの人になら、よりかかってみてもいいかな。

そんなふうに思った。

ひとりで背筋をのばして生きているのが、カズトさんの笑顔とやさしさと弱さのまえでは、ほんのちょっとだけ滑稽に思えたのだ。
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