キスはおとなの現実の【完】
アパートの部屋のまえにつき鍵をあけると、誰もいない真っ暗な玄関にむかってひとりごとをいってしまうのがわたしの習慣だ。

「ただいまー」

手探りでヒールを脱いでその場にぽいと投げ捨てる。
玄関の電気は極力つけないように心がけている。

実家をでてから気づいたことだが、こういう節約がけっこうばかにならない。
なんだかんだでひとり暮らしはお金がかかる。
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