キスはおとなの現実の【完】
次の朝も平常どおり七時に起きてメイクをほどこし会社にいった。

出社後は大上先輩にくっついて一日じゅう営業まわり。
取引先へのあいさつに、新規開拓、とびこみ営業。

昼は中途半端な時間に駅のホームのベンチに座って、サンドイッチをかじるだけ。

仕事の成果や感触をつかむことは本当はまだまだできないが、とにもかくにもやるしかない。

毎日まいにち単調だけれど、おとなというのはきっとそういうものなのだろう。

生きていかなきゃいけない時間は、先が見えなくなるほどに長く続いているけれど、今日という日は無限にない。

やるべきことがおおすぎて、次から次へと時間に追われる。
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