キスはおとなの現実の【完】
「ねっ。いいでしょ。ほかは、あたしの大学の友達ばかりだけれど、あたしもひさしぶりにシオリに会いたいし。おねがい」

こちらのつごうなどなにも考えていない発言だが、数すくない友人のたのみを、先ほどの母の電話のように、むげことわるわけにもいかない。

さいわい次の日が日曜で休みだったし、時間も夜の七時からということで、遅くならなければの条件をだして、しぶしぶオーケーした。

電話のむこうのサクラは、とびきり明るい声をだす。

「ありがと、シオリ。感謝する」

それからこんな言葉をつけたした。
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