キスはおとなの現実の【完】
店内は手まえにずらりと四人がけのボックス席がならんでいて、奥が一室、仕切りのない座敷席になっている。

奥の厨房入口のすぐそばに、それらしい集団があった。
テーブルではなく座敷のほう。
目をこらすと、なつかしいサクラの顔もある。

サクラは色づかいのおおい、ひらひらした服を着ていた。

ハイブリーチをした髪はアップにまとめあげていて、毛先のパーマが触手のように右に左に遊んでいる。

しばらく見ないうちに、けっこう垢抜けた。

変わらないでとは思わないが、高校時代の彼女とくらべたら、派手さが七割増しである。
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