キスはおとなの現実の【完】
座敷席へむかっている途中で、サクラがわたしに気づいた。

「ごめん、サクラ。ちょっと遅れた」

そんなふうにいおうとしていると、サクラが席を立ちあがる。

小走りでこちらに近づき、ハグをする。
高校生のころにはなかったあいさつ。

サクラに抱きつかれた瞬間、ジバンシィの香水が鼻の穴に強烈に香った。
たしか名前はプチサンボン。

こいつは派手になったどころか、大学にはいって外国人にでもなってしまったのだろうか。
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