キスはおとなの現実の【完】
サクラはわたしを腕のなかから解放すると、ほかのメンツにわたしのことを紹介した。

「袴田シオリ。あたしの高校の同級生」

「はじめまして」

わたしは初対面の集団に、社会人らしく頭をさげてあいさつする。
腰の角度は十五度ていど。
拍手やら指笛やらでおおもりあがりのメンバー。

なんだか、ひじょうに浮いてしまう。
見世物になったみたいで、恥ずかしい。

サクラのそでをひっぱって、着席させてくれるように無言でたのんだ。

「さあ、どうぞ。せまいところですが」

サクラはなんだか、むちゃくちゃなことをいっている。
くつを脱いで座敷にあがった。
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