キスはおとなの現実の【完】
合コンは時間がたつにつれ、わたし以外の全員が打ちとけてきた。

男女わかれて整然とむかいあって座っていた席順が、いつのまにか雑なものに変わっている。
ひとりひとりが、ジョッキを片手に思いおもいに移動をしていた。

唯一の友人であるサクラも、とっくの昔にわたしのとなりから姿を消している。
お目あてを見つけたのだろうか、座敷のすみのほうで男の子とふたりきり、いい感じになっている。

ひとりちびちびビールをのみながら、そんなようすをぼんやり眺めた。
< 54 / 224 >

この作品をシェア

pagetop