キスはおとなの現実の【完】
ああいう仕事も大変そうだな。
さっきつまずいていたもんな。

なんとなくわたしは、その男性を凝視してしまう。
のみ会の場からは完全に背中をむけてしまっていた。

「シオリちゃん、なに見てるの?」

さすがに現実逃避をしていたわたしの行動は目立っていたらしい。
先ほどのムードメーカーの人がジョッキを片手に声をかけてきた。

わたしは一瞬だけムードメーカーの人に目をやってから、厨房を視線でしめした。
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