キスはおとなの現実の【完】
業者さんが厨房からちょうどでてきた。

「あっ」

ムードメーカーがわたしの横で声をもらした。

「カズトくんじゃないか。おーい、カズトくーん」

とつぜんわたしの耳もとで叫ぶ。
酔ってボリュームのつまみでも壊れてしまったのだろうか。
とんでもない大声。

昨夜のサクラの電話といい、わたしは絶対近いうちに中耳炎になる。
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