キスはおとなの現実の【完】
それどころか、先ほどの女の店員さんに、ちくりといやみをいわれていた。

「ミモトさん、まだいたんですか。そんなところに立っていると、はっきりいってじゃまですよ」

業者の人は、それならといって口をひらく。

「じゃあ、のみもの注文していい?」

店員さんは笑顔でいう。

「だめです」

さっきのことといい、かっこうつかないおとなである。

入口付近に座っているわたしも、必然的にその輪にくわわるみたいなかっこうになっていた。
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