キスはおとなの現実の【完】
お店をでると時刻は九時すぎ。
商店街は、まだにぎわっている時間だった。

みんなはお店の入口あたりに陣どって、二次会はどうするなんて会話をしている。

サクラは先ほどいちゃついていた男の人とべったりで、なにもいわずにそそくさと商店街から消えていった。

きっと医大生のアパートにでもむかうのだろう。

わたしはみんなの輪にはいれず、お店のまえからすこし離れて立っていた。
サクラがいなくなった今、知りあいはいないし、これ以上この会合につきあっていられない。
帰宅したいむねを誰につたえればいいのかわからず、ただただ居心地悪かった。
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