キスはおとなの現実の【完】
私有地は車一台がぎりぎりとおるていどの道幅で、業務用の白のヴァンがお尻をむけて窮屈そうにおさまっていた。

なんだか息苦しいって感じがする。

背すじをのばして、肩をかちかちにこわばらせたどこかの誰かさんのようにも見えた。

車の近くに酒屋さんの裏口があった。
正面にある正規の入口から横に90度回転した場所に口をあけているから、正確には横口だろうか。
そんな言葉、きっとどこにもないけれど。

わたしは私有地に足を踏みいれ、裏口のまえにいった。
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