キスはおとなの現実の【完】
酒屋の裏口はガラスの引き戸になっていた。
スケルトンではなく、すりガラス。
はっきりとではなく、なかのようすがぼんやり見える。

扉のそとには立ちのみスペースの看板もでていないが、お客はわりとはいっているようだった。
いくつかのスーツの背中が見えるうえ、わいわいがやがや活気があった。

こういう場所ははじめてだ。
引き戸に手をかけ、しばらく悩む。

はいろうか、やめようか迷っていると、とつぜんなかから男の人の声が響いた。
< 97 / 224 >

この作品をシェア

pagetop