キスはおとなの現実の【完】
「じゃあ、カズちゃん。ごちそうさま」

目のまえの引き戸がいきおいよくひらく。

「うわっ。びっくりした」

なかからまるまるふとった中年のサラリーマンがひとりででてきた。
わたしの顔を見て、その場で飛びあがる。

「すみません」

わたしは軽く頭をさげる。

サラリーマンはわたしのことをまじまじ見つめた。

「へえ。若い女の子がくることもあるんだ」

そういって、ふとった男性は店の奥をふりむき叫んだ。
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