キスはおとなの現実の【完】
「かわいい子。カズちゃんの彼女かい?」

「え? なに?」

店のなかから知っている声がする。

ふとった男性ごしになかをのぞいた。
店のなかにはカズトさんの顔があった。

「ああ。袴田さん。きてくれたんだ。ありがとう。せまいけど今すこしスペースあいたから、たぶんぎりぎりはいれると思いますよ」

目のまえの中年サラリーマンがじょうだんめかしてカズトさんの言葉を継いだ。

「メタボリックひとりぶんのスペースだから、ゆったりとできるよ」

ずいぶんとアットホームな雰囲気らしい。
中年サラリーマンはそういってわたしに道をゆずってくれた。

わたしはふとったサラリーマンといれかわりに裏口の引き戸をくぐった。
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