星夢物語

「ふあぁ~~、、ん?こんなところで座ってどうしたんだい、わしの寝顔なんて覗いてもおもしろーないぞ?」


目覚めたばかりでうつろいながらも、わははと笑いながら杏恋の頭をなでた。
杏恋は夢の覗き見に対しての申し訳なさと、頭をなでられたことに対しての照れくささで顔が真っ赤になった。


「ううぅー・・・」


恥ずかしさをこらえてながら、ついさっきの夢の内容を振り返り、そうだと思いおじいちゃんに尋ねてみた。


「そうそう!おじいちゃん”星の夢”っていう本を母さんに見せてもらったことある?」


「ん~・・..あぁあ、ずいぶん昔に学校で本を作る授業があったらしくてな、そのときお前のお母さんが作って金賞をもらったそうで
すごく喜んでね、、それでわしらにも読ませてあげるとニコニコしながら持ってきて、そりゃうれしそうにいろいろ言ってたな」


「へーそうなんだ~~」


「ん?でもなんで杏恋がこの話を知ってるんだい?」


「あ、それは~、えーと....ほらっ、おじいちゃんさっき寝言で本がどうのって言ってて、うん、ん~・・・盗み聞き?」


「ありゃーそんな寝言を言ってたのかぃ、恥ずかしいなぁ」



そんな会話をしていると急におじいやんは首をかしげ悩ましげに。


「そういえばあの本はどこへやったんだろう?わしらに見せたあと、どこかへ持ち出していったみたいだったけども・・・うーん、どうだったかなぁ」



本の話題はしばらく続き、やがてお母さんはああだった、こうだったと昔話に花が咲き、笑い混じりで夜が更けるまで過去の話を語ってくれた。
お母さんは私がまだ赤ん坊のころに亡くなったと聞かされている。
シングルマザーだったので父親の顔は生まれたときですら面識がないみたい。

写真や映像ごしでしか見ることができないのがとても残念でならない。
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