藍色の城
『あのさ…。』
『嫌!やっぱ聞かない!』
『え?』
耳を押さえて聞こうとしない村上。
その手を掴んで『聞いて?』と
言っても首を振る。
『だって今の顔謝る顔だもん!』
『え…?』
『やだもん…。もう聞きたくない。』
不安そうな表情に胸が痛んだ。
耳を塞ぐ村上を気付けば
ボクはきつく抱きしめていた。
『え?え?え?なに?』
テンパる村上はまだボクの
腕の中。
真夏の蜃気楼が遠くに見える。
『彼氏のフリするの、止めたいんだよ。
……ホントの彼氏に…してくんないか
な?』
『え…?』
更に固まる村上の身体をそっと
離した。