藍色の城



****************



『へ、部屋暑くない?』



『え?うん。ちょうどいいけど?』



いつもよりぎこちなくて、
動きがガチガチな村上。



『そ、そっか。』



久しぶりに訪れた村上の部屋。
あ、いけない。
ボクは付き合い出してからは
ちゃんと「莉緒」って呼ぶ
ようにしたんだった。



授業は午前中で終わって
今帰って来たとこ。
部屋で二人きり。
アイスレモンティーを
飲んで目が合う。



親も誰もいない家に彼氏連れて
来るってねぇ……。
ボクだって狼になるんだぞ?
莉緒ちゃん?



座布団を自分の隣に敷いて
ポンポン叩いた。



こっちにおいで、の合図。



素直に隣に座る莉緒の横顔は
リンゴより真っ赤だ。








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